先週の「ウルトラマンオーブ THE CHRONICLE」では、オーブ屈指の神回と名高い「にせもののブルース」が放送されました。
地球侵略のためにオーブに化けたババルウ星人ババリューですが、子どもたちの触れ合いを通じて正義の心に目覚め、最終的には優しい宇宙人として地球で暮らすことを決心しました。
ところで、ウルトラシリーズでは「昔ながらのやり方」としてウルトラマンに化けて悪事を働く怪獣や宇宙人が何度も登場しました。
また、偽物とはちょっと違うかもしれませんが、自身の野望のために生み出した人造のウルトラマンも何度か登場しています。
というわけで今回は、ジードまでに登場したニセウルトラマンをまとめてみたいと思います。
対象となるのは、「怪獣や宇宙人が化けたウルトラマンの偽物」、「人工的に生み出されたウルトラマンの模造品」の2つ。 幻影として登場したものやベリアルやイーヴィルティガなどの悪堕ちしたウルトラマンは基本的に除きます。
それから、一部作品のネタバレを含みますので、閲覧の際はご注意ください。
目次
ザラブ星人
登場作品:ウルトラマン、ウルトラマンメビウス、ウルトラギャラクシー大怪獣バトル、ウルトラマンX、ウルトラマンオーブほか
記念すべき最初の、ウルトラマンに化けた宇宙人。
様々なものに化ける能力(ウルトラマンの他に、フジ隊員にも化けた)のほかに、放射能の霧を生み出す能力を持つ。
自ら生み出した霧を晴らすことで人間の信頼を得て、ウルトラマンに化けて逆にウルトラマンの信頼を落とそうとした。
彼の変身したウルトラマンは本物と比べてツリ目になっており、偶然にもベリアルやジードを連想させる見た目になっている。
「ウルトラマンに化けて、ウルトラマンの信頼を落とす侵略作戦」の歴史は、ここから始まった。
ちなみに、本物のウルトラマンがにせウルトラマンに攻撃した際、痛がる仕草を見せるシーンがあるが、あれは演技ではなく本当に痛かったらしい。
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「ウルトラマンメビウス」にも登場、こちらもメビウスに変身して暴れまわった。
映画「ウルトラ銀河伝説」ではギガバトルナイザーを使って宇宙牢獄に幽閉されていたウルトラマンベリアルを解放したが、用済みとばかりにベリアルに排除されてしまった。 哀れ…
にせウルトラセブン
登場作品:ウルトラセブン
サロメ星人が地球侵略のために開発したウルトラセブンそっくりのロボット。
腰や手足についているプロテクターを除けば本物と瓜二つ。
本物のウルトラセブンであるモロボシ・ダンを誘拐し、自白装置「トークマシン」でウルトラビームの方程式を聞き出し、搭載することで完成した。
その後用済みとなったモロボシ・ダンを時限爆弾で始末し、にせセブンを港に放つことで暴虐の限りを尽くし、勝利を確信したかに見えたが…
実はダンは時限爆弾が爆発する直前で脱出しており、彼が変身する本物のセブンは互角の勝負を繰り広げるも倒され、その後現れた本物のセブンを「我らのセブン」と勘違いしたサロメ星人も宇宙船ごと爆破された。
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ちなみにサロメ星人は後に、OVA「ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ」でもウルトラ兄弟たちのロボットを製作した。
エースロボット
登場作品:ウルトラマンエース
エースの敵である異次元人ヤプールが、エースキラーのテストのために作ったウルトラマンエースそっくりのロボット。
セブンの時と同じく体に金のプロテクターが付いており、本物のエースと同じ能力と技が使える。
動きこそロボットらしくノロいものの、エースキラーの放ったスペシウム光線を3発、エメリウム光線を2発、ウルトラブレスレット1発を喰らっても耐え抜くほどの強靭な防御力が持ち味。 正直テストロボットだけで済ませるには惜しい性能である。
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ババルウ星人
登場作品:ウルトラマンレオ、ウルトラマンメビウス、ウルトラマンX、ウルトラマンオーブほか
「ウルトラマンレオ」で初登場した暗黒星人。
レオの弟アストラに化けてウルトラの星のウルトラキーを盗み出し、軌道を変更させて地球を衝突させようとする。
にせアストラがウルトラキーを盗んだことで、彼を倒そうとするウルトラ兄弟とそれを阻止しようとするレオの間に軋轢が生まれるが、ウルトラマンキングの洗礼光線により正体がばれてしまう。
「ウルトラマンメビウス」に登場した際はハンターナイトツルギに化け青いウルトラマンに対する恐怖心を植え付けようとするが、GUYS(警備チーム)の作戦で正体を暴かれた。
「ウルトラマンオーブ」では惑星侵略連合の一員として「ババルウ星人ババリュー」が登場。
例のごとくウルトラマンオーブに化け、地球人との信頼関係を崩壊させようとするが、突然現れたテレスドンと戦ったことがきっかけで彼がオーブの正体だと勘違いされる。
その後子供たちと交流を深めるうちに優しい正義の心に目覚め、自身の正体を明かされてもなお正義の戦士として戦い抜いた。
その後も地球に姿を変えて住み着いた。 もしかすると君のすぐそばにもババリューさんがいるかも…?
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にせウルトラマンジョーニアス
登場作品:ザ☆ウルトラマン
ギロ星人が制作したウルトラマンジョーニアスそっくりのロボット。
地球に侵略基地を建てるための囮として地球警備隊と本物のジョーニアスと戦った。
これまでのロボットウルトラ戦士と異なり、野太い声以外は本物と瓜二つで、おまけにこの「ザ☆ウルトラマン」がアニメ作品ということもあってか2人が戦っているとどっちが本物か分からないという事態も発生したとか。
ちなみにDVD-BOX同梱のパンフレットによれば正式名称は「ウルトラマンX」らしい。
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妄想ウルトラセブン
登場作品:ウルトラマン80
サッカーが好きな少年、直人が暴走族「サタン党」に襲われたことで重傷を負い、彼の怨念がウルトラセブンの人形に宿り巨大化した姿。
サタン党を追いかけ、バイクごと思いっきり地面にたたきつけるなどして暴れまわったが、駆け付けた80の説得を受けたのと、暴走族が深く反省したため怒りが収まり、必殺技「タイマーショット」を受け宇宙に運ばれた。
完全に加害者とはいえ暴走族を地面にたたきつけるシーンはあまりにも衝撃だったのか、フジテレビの「トリビアの泉」でこのシーンが紹介されたことがある。
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ウルトラマンシャドー
登場作品:ウルトラマンゼアス2
前作「ウルトラマンゼアス」で倒されたベンゼン星人の妻、レディーベンゼン星人が打倒ゼアスのために制作した悪のウルトラマン型ロボット。
シャドリウム光線、シャドーメリケンパンチ、シャドーメリケンミサイルなどを武器とするほか、希望を失った者を洗脳し操るマインドコントロールビームを放つこともできる。
南極での1戦目ではゼアスを完全に圧倒し勝利。 その後ゼアスは特訓を重ね強くなり、2度目の戦いでは敗北した。
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テラノイド
登場作品:ウルトラマンダイナ
火星基地で秘密裏に進められていた「F計画」で生み出された人造ウルトラマン。 外見はダイナストロングタイプに似ている。
古代の巨人像の破片から完成させた石像に、無理やり連れてきたアスカ・シン(ダイナ)の光を浴びせることで完成、人類最大の防衛兵器として火星基地に攻め込んできたスフィアを迎え撃った。
当初は善戦するも、光線を撃ちまくったためすぐエネルギー切れになり、その隙を突かれスフィアに乗っ取られてしまい…
ゼルガノイド
登場作品:ウルトラマンダイナ
テラノイドがスフィアに乗っ取られた姿。
テラノイド自身が元々ダイナをもとに生み出されたため、ダイナフラッシュタイプを上回る力を持ち、スフィアの能力が宿っているためエネルギー切れによる活動限界が存在しない。
一度はダイナを圧倒する実力を発揮するも、ゴンドウ参謀の生体エネルギー照射により形勢逆転、ソルジェント光線を2度撃ち込まれて爆散した。
グレゴール人
登場作品:ウルトラマンダイナ
宇宙一の格闘家を目指し戦いを続けている宇宙格闘士。
宇宙侵略の意思はなく、あくまでもウルトラマンダイナとの決闘のために地球にやってきた、ウルトラシリーズではレアなケース。
まず地球にモンスアーガーⅡを送り込み、自身が化けたにせダイナで倒すというデモンストレーションを行う。
ウルトラマンに化けたのも人間の信頼を落とすためではなく侵略者と誤解されないためで、これもシリーズ内を見ても珍しい。
その後本物のダイナに宣戦布告、自身が作ったリングの中で決闘を行う。
彼が化けるにせダイナは本物と同様にタイプチェンジが可能で、ソルジェント光線を上回る「ダークソルジェント光線」が必殺技。
その圧倒的な実力でダイナを圧倒するも、人々の応援で奮起し、クロスカウンターで敗北。
敗北ののち、自分を殺すようダイナに要求するも断られ、ダイナの強さは人々との絆だということを理解し、宇宙へと飛び去った。
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アルギュロス
登場作品:ウルトラマンガイア
「ウルトラマンガイア」に登場した金属生命体。 以前ガイアが戦ったアパテーと同族である。
両腕を武器に変形させて戦うことができるほか、アグルとの戦闘では自身がアグルに化けて戦った。
本物とは目や光線の色が異なり、変身前のように口元を不気味にゆがめる癖は変わらない。
アグルに変身した後は、リキデイターでダメージを与えるも、本物のアグルがパワーアップし、フォトンクラッシャーを受け砕け散った。
アルギュロスの破片はアパテーのものと共にジオベース(地球警備隊)に運ばれたが…
ミーモス
登場作品:ウルトラマンガイア
かつてウルトラマンに倒されたアパテーとアルギュロスの破片と、電子生命体クリシスゴーストが融合して誕生した第3の金属生命体。
こちらはウルトラマンガイア(V1)に化けて行動していたが、チームライトニングの大河原の攻撃で姿を現した。
アルギュロスが化けたにせアグルと違い、本物と瓜二つなのが特徴。
戦闘の際は全身の金属片をブーメランに変化させて攻撃する。
そしてミーモスの最大の特徴がその防御力。 そのタフネスたるやにせガイアの時にフォトンクラッシャーとアグルのリキデイターを喰らい、正体を現した後もガイアスプリーム・ヴァージョンに9回投げられた後にフォトンストリームを受けてようやく倒された。
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ゲルワーム
登場作品:ウルトラマンコスモス
宇宙から飛来したカトラ隕石に付着していた毛虫のような宇宙怪獣。 青色のMと桃色のPの2種類が登場した。
北稜大学の教授たちがカトラ隕石を回収した際にMが隕石から落ちてしまい、残ったPを探すために周囲の人々に噛みつくことでそのDNAをコピーし擬態。
その過程で大学構内でドッペルゲンガー騒動を引き起こし、騒ぎを聞きつけたEYESに追いかけられ、逃げ延びたバイオ工場で人工細胞を増殖させる液化ガスを浴びたために巨大化。
コスモスとの戦闘ではコスモスのDNAをコピーしにせウルトラマンコスモスとなって戦ったが、フルムーンレクトで鎮圧化され元に戻り、Pと共に隕石に乗って宇宙に帰っていった。
カオスヘッダー
登場作品:ウルトラマンコスモス
宇宙から飛来した光のウイルスで、作品を通して登場する敵キャラ。
元々は争いの絶えない惑星に平和と秩序をもたらすために生み出された人工生命体で、全生命体を一体化させることで平和をもたらそうとしたが、次第に歪んでいき渡り歩く惑星を死の星へと変えていった。
様々な生物や物質に感染することで「カオス怪獣」に変貌させる能力を持ち、コスモスに変身する春野ムサシに感染した時にはコスモスのデータをもとに悪の巨人「カオスウルトラマン」を生み出した。
コスモスと何度も戦ううちに憎悪の感情が膨らみ、最終的には「カオスダークネス」となりコスモスに最後の戦いを挑む。
月面、地球と2度の対決でコスモスを追い詰めるも、チームEYESや地球怪獣たちのサポートを受け、そしてカオスヘッダーと分かり合いたいというコスモスの思いから生まれた「ミラクルナモード」のルナファイナルで完全に浄化され、カオスヘッダー0へと生まれ変わった。
カオスウルトラマンは、ウルトラマンギンガ劇場スペシャル第2弾にも登場した。
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ダークザギ
登場作品:ウルトラマンネクサスほか
「ウルトラマンネクサス」で初登場した人造ウルトラマンにして、本作のラスボス。
元々は「来訪者」と呼ばれる異星人たちが、かつて自分たちをスペースビーストの脅威から守ってくれた「ウルトラマンノア」を模して生み出した最終兵器「ウルティノイド・ザギ」。
ウルトラマンノアとの戦いで肉体を失ったザギは、ビーストたちと共に来訪者の後を追う形で地球へ到着。
そこでナイトレイダー隊員の石堀光彦になりすまし、ビーストを呼び寄せたり、闇の巨人(ダークファウスト、ダークメフィスト)を生み出し使役したりして陰で暗躍。
最終話でついに正体を現し、ネクサスの変身能力を得ていた凪の光を奪い取ることで完全復活を果たした。
ノアを模したということもありノアと同じ能力や技が使える強敵で、体色を除けばノアと瓜二つ。 ある意味「にせウルトラマンノア」とも言えるかもしれない。
「ウルトラマンギンガ劇場スペシャル第1弾」にも、異形の手のモノが送り込んだスパークドールズとして登場した。
ちなみに当初の脚本ではダークザギは「凪が悪堕ちした姿」という中ボスで、ラスボスはダークルシフェルというキャラになる予定だったが、放送期間短縮の影響でダークザギがラスボスとなった。
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ダークロプス、ダークロプスゼロ
登場作品:ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!べリアル銀河帝国、ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ、ウルトラマンジード
「ウルトラ銀河伝説」にてゼロに敗れたウルトラマンベリアルが、アナザースペースにて築き上げた「べリアル銀河帝国」の兵士として生み出したロボット。
その名の通りゼロそっくりの外見をしており、オリジナルであるゼロとほぼ同じ技を使うことができるが、ダークロプスは量産型ということで性能は抑えめになっている。
ダークロプスゼロはのちに量産されるダークロプスのプロトタイプで、サロメ星人が拾ったものを自分の命令に従うように改造したものである。
ダークロプスゼロは「ウルトラマンジード」でも、伏井出ケイのウルトラカプセルで召喚される形で登場した。
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ヒッポリト星人 地獄のジャタール
登場作品:ウルトラゼロファイト
ウルトラマンベリアルに仕える5人の宇宙人「ダークネスファイブ」の1人。
ヒッポリト星人らしく触れたものをブロンズ像に変える能力を持ち、この能力でウルティメイトフォースゼロのグレンファイヤーとミラーナイトをブロンズ像に変えた。
その後ジャタールはウルトラの母に化けてウルトラマンゼロを油断させてブロンズ像に変えようとしたが、あっさり見抜かれてしまい、ブロンズ化した右腕でぶん殴られた挙句に小惑星に激突、倒された。
その後メンバーに存在すら忘れられていたが、シャイニングウルトラマンゼロが時間逆行能力を使った影響で復活、ゼロとミラーナイトを倒そうとするが返り討ちにされる。
その後ようやくベリアルや他メンバーと合流、やっとメンバーも思い出したことでダークネスファイブの一員として復帰することができた。
ちなみにダークネスファイブの中で戦死したのは彼だけである。
ウルトラマンダーク、ウルトラセブンダーク
登場作品:ウルトラマンギンガ
「ウルトラマンギンガ」のヒロイン石動美鈴の父親、誠一郎が自身の心の闇を突かれ、ウルトラマンとウルトラセブンのスパークドールズでそれぞれダークライブした姿。 オリジナルだと銀色の部分が黒くなっている。
ウルトラマンとウルトラセブンと同じ技を使えるほか、悪のウルトラマンというだけあってダーティーな戦法を得意とする。
2つのスパークドールズを使い分けることでそれぞれの形態に変身することができ、ギンガを大いに苦戦させた。
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バグレー
登場作品:ウルトラマンギンガ劇場スペシャル第2弾
ウルトライブを疑似体験できるウルトライブシミュレーション空間に突如出現したウルトラ戦士型のバグ。
ウルトラマン型のカオスロイドU、ウルトラセブン型のカオスロイドS、ウルトラマンタロウ型のカオスロイドTのほか、ティガに登場したイーヴィルティガやコスモスに登場したカオスウルトラマンが出現した。
開発した一条寺友也がウルトラ戦士を強めにプログラミングしたため、圧倒的な強さを誇る強敵。
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ウルトラマンジード
登場作品:ウルトラマンジード
朝倉リクが変身するウルトラ戦士。 ベリアルの遺伝子を受け継ぐ息子のような存在であり、目つきが鋭いのが特徴。
ウルトラマンヒカリが開発したジードライザーと2つのウルトラカプセルを読み込ませることでフュージョンライズ、ジードに変身する。
ジードがかつてクライシス・インパクトを起こしたベリアルにそっくりなこともあって市民の評判は最悪であったが、戦いを重ねるごとにその評価は次第に好転していった。
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その正体は、ベリアル復活のために必要なウルトラカプセルを起動させるために生み出した伏井出ケイことストルム星人が生み出した人造ウルトラマン。
カプセルを起動させるために必要なリトルスターは、ウルトラマンに祈りを捧げることでしか分離することはできない。 そこでケイは祈りの対象となるウルトラ戦士を生み出し、彼を怪獣と戦わせることでカプセルを起動させる道具として利用していた。
生まれた時からにせウルトラマンという衝撃の出自を持つジードだったが、怪獣や自身の父親であるベリアルとの戦いを通じて世間のヒーローとなり、ウルトラの父やキングからも「若きウルトラマン」と呼ばれ、1人のウルトラ戦士として認められた。
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以上、かなり個人的な解釈ではありますがにせウルトラマンについてまとめてみました。
ウルトラマンオーブでのジャグラーの「(偽物に変身して)人間の心を揺さぶる作戦はもう時代遅れ」という言葉通り、最近では自らウルトラ戦士に化けて悪さをする怪獣や宇宙人はめっきり減ったように感じます。